桐ひらく ブログ

【着物の基本】単衣(ひとえ)と袷(あわせ)の違いとは?

【着物の基本】単衣(ひとえ)と袷(あわせ)の違いとは?

2025年08月11日 18:21

皆様、こんにちは。

桐ひらくの石井庸子です。


今回は、少し先取りして9月の着物のお話です。


9月は「単衣(ひとえ)」の着物をまとう季節。

本日は、この単衣の着物について、特にその「仕立て方」に焦点を当ててみましょう。



9月に着る「単衣(ひとえ)」の着物


「単衣」とは、その名の通り、裏地を付けずに一枚で仕立てられた着物のことを指します。


生地が体に直接触れるため、お尻の部分には「居敷当て(いしきあて)」という補強布が付けられています。

これは、立ったり座ったりする際に生地が傷んだり、縫い目が伸びたりするのを防ぐための、大切なひと手間です。


少し意外に思われるかもしれませんが、単衣の着物は、実は冬に着る着物と同じ生地で作られます。

冬物の生地に裏地を付けずに仕立てたものが「単衣」なのです。


冬と夏の間に着ることから「合物(あいもの)」とも呼ばれます。


生地は冬物と同じでも、季節感を大切にするのが着物の楽しみ方。

柄は秋草など、重すぎず軽やかな印象のものを選ぶと素敵です。


合わせる帯や帯締め、帯揚げ、半襟は、すべて冬物を使います。



「袷(あわせ)」との違いを知る


では、裏地が付いている着物はなんというのでしょうか。

それが「袷(あわせ)」です。


袷は、裏地として「八掛(はっかけ)」と「胴裏(どううら)」という二種類の生地を使って仕立てられます。


お手持ちの着物の裏側を見てみてください。

裾や袖口からちらりと見える色のついた裏地、これが「八掛」、いわゆる裾回しです。


そして、その上の胴体部分に付いている白い裏地が「胴裏」です。

この二つが付いている状態が「袷」で、主に10月から5月頃まで着る、最も一般的な仕立て方です。


つまり、同じ一枚の着物でも、この八掛と胴裏を取り、単衣として仕立て直せば、6月と9月に着られるのです。

着物は、こうして仕立て方を変えることで、長く様々な季節で楽しむことができるのですね。



単衣の魅力と、もっと自由な着こなしを


裏地がない単衣は、着物の生地そのものの風合いやしなやかさが、直接体に伝わってきます。

その心地よさは、私たち着物好きにとって「これぞ着物の真骨頂」と感じるほど、格別なものです。


「着物はコーディネートが難しそう」というお声を時々いただきますが、決してそんなことはありません。

ぜひ、お洋服を選ぶのと同じ感覚で楽しんでみてください。


「着物だから和装バッグを」と気負う必要はありません。

お洋服と同じように、季節感を取り入れたり、お会いする方のことを考えたりしながら、自由な発想でコーディネートを楽しんでいただけたら、これほど嬉しいことはありません。


もっともっと、気軽に着物を楽しむ方が増えることを願っております。


それでは皆様、またお目にかかる日まで、ごきげんよう。




YouTube動画はこちら↓↓